日進電子工業株式会社

キセノンフラッシュ光源による衝撃波の可視化実験

サブマイクロ秒露光の光量不足を克服!高輝度キセノンフラッシュ光源に含まれる紫外波長のみを使用し、感圧塗料を蛍光発光させることで衝撃波を可視化する実験に活躍しました。

こんな課題を解決

●超高速で移動するワークや流体を撮影したい
●高速度カメラの露光時間を極端に短くしたい(マイクロセックオーダー)
●LED照明を試したが、光量が全然足りず画像が暗くなってしまう

 

研究目的・研究背景


爆発事故などで発生する衝撃波(ブラスト波)は、頭部に作用することで重篤な脳損傷を引き起こす可能性があります。
その発生機序を明らかにするためには、衝撃波が頭部に衝突した際に生じる、極めて高速かつ複雑に変化する圧力場を、高い空間分解能・時間分解能で計測する技術が必要です。

 

計測手法


衝撃波は、圧力や密度などが極めて短時間のうちに急激に変化する圧縮波であり、その通過に伴う圧力変化はマイクロセック以下の時間スケールで生じます。衝撃波のような極めて高速に伝播する現象に伴う圧力場を計測するためには、マイクロ秒以下の時間スケールで生じる急激な圧力変化に追従できる、高い時間応答性を有する計測手法が必要です。さらに、衝撃波が物体と干渉する際には圧力が空間的にも複雑に変化するため、局所的な点計測だけではなく、圧力分布を面として捉えることが求められます。


このような非定常圧力場を面的に計測できる手法の一つが、感圧塗料(Pressure-Sensitive Paint:PSP)です。PSPは、酸素による発光の消光現象を利用した感圧色素を用いる機能性分子センサーの一種です。励起光を照射すると感圧色素が発光し、その発光強度は周囲の酸素濃度、すなわち圧力に応じて変化します。この発光をカメラなどの撮像装置や光検出器で計測し、あらかじめ求めた発光強度と圧力の関係を用いることで、圧力を算出することができます。


また、PSPでは塗布された面に存在する多数の感圧色素がそれぞれ圧力センサーとして機能します。そのため、機械式圧力センサーによる点計測とは異なり、対象表面の圧力分布を高い空間分解能で面的に取得できることが大きな特徴です。特に、高速応答性を有するPSPと高速度撮影を組み合わせることで、衝撃波に伴って短時間に変化する非定常圧力場を時系列で可視化・計測することが可能になります。

 

独自開発の感圧塗料 (DP-AA-PSP)


沼田研究室では、色素塗装型陽極酸化アルミニウム感圧塗料(Dye-Painted Anodized Aluminum PSP, DP-AA-PSP)を独自開発しました。
これは従来までの PSP と比べ、圧倒的に時間応答に優れた PSP であり、圧力変化に対する応答速度が極めて速く、90%立ち上がり時間は 0.163 μs(マイクロセック)という驚異的な数値を達成しています。
この優れた時間応答性を活かし、衝撃波のように極めて短時間で圧力が変化する現象を時系列で捉えることが可能であり、さまざまな超音速・極超音速流れに伴う非定常圧力場の可視化・計測への応用が進められています。

 

弊社製品の役割


DP-AA-PSPの高い時間応答性を実際の高速現象計測に活かすためには、光学系にも高速計測に対応した性能が求められます。
超高速で伝播する衝撃波に伴う圧力変化を鮮明に捉えるためには、PSPそのものに高い時間応答性が求められるだけでなく、極めて短い露光時間においても十分な発光強度を得るための高輝度な励起光源が必要です。

本実験では、感圧塗料を励起するための光源として、弊社のキセノンショートアークフラッシュ光源「SA-200F」を採用いただきました。また、「インダクターボックス LB-5L(SA)」を併用することでフラッシュ光の発光時間幅を拡大し、高速度カメラによる時系列計測に必要な照明時間を確保しています。これらの光源システムが、DP-AA-PSPを用いた高速非定常圧力場の可視化計測を光学面から支えています。

 

研究成果


衝撃波と人体頭部の干渉に伴う複雑な圧力場の鮮明可視化

ヘルメットを装着していない頭部模型では、衝撃波が顔面に到達した際の急激な圧力上昇に加え、その後、衝撃波が頭部形状に沿って反射・回折しながら伝播し、側頭部から後頭部へと回り込む過程を時系列で捉えることに成功しました。これにより、頭部周囲に形成される複雑な非定常圧力場の時間的・空間的変化を可視化することができました。

ヘルメット使用時における頭部模型周りの非定常圧力場の鮮明可視化

ヘルメット装着時には、ヘルメットが緩衝体として機能し、頭部へ伝達される圧力を低減する可能性が示されました。一方で、ヘルメットと頭部との間に侵入した衝撃波が反射・収束することにより、局所的にはヘルメット未装着時には見られない高い圧力が生じる可能性も示されました。

高い計測精度

実験で得られた圧力値は、理論値との誤差がわずか0.26%と極めて高く、弊社光源を用いた可視化システムが高い定量性を備えていることが実証されました。

本研究で得られた知見を基にして、今後、医学的な爆傷メカニズムの解明や、ブラスト波に対するより効果的な防護具(ヘルメット等)の開発などに繋がることが期待されています。


 

ショートアークパワーフラッシュ
SA-200Fシリーズ

●最大200J/Fの大光量単発発光ストロボ光源
●光量は4段切替です。 (50/100/150/200J/F)
●理化学研究・医療機器用光源などに

スペクトル分布


インダクターボックス
LB-5L(SA)シリーズ

●適合機種とランプハウスの間に接続することで、発光半値幅を広げることができます
●スイッチ操作により31段階の設定ができます。

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