2009,07,16, Thursday
ストロボスコープは、閃光時間がおよそ2万分〜10万分の1秒間というとても短い光を、1秒間に最大1000回程度で繰り返し発光させることができる装置です。
この繰り返し発光周期は自由に可変させることができます。 ストロボスコープの発光周期と動いている物体の運動周期が一致したときは、物体が静止した状態に見えます。また位 相をずらすことで、高速で動いているものがあたかもゆっくりと動いているように見えます。 このような特長を活かし、モーターやファンなどの回転体の回転数を計測する非接触式の回転計として使われています。 またその応用として、鉄鋼の圧延やメッキ処理のキズ検査・印刷の色ズレ検査・高速搬送機などの駆動動作状態の観察など、高速で動かしたまま「静止状態」の観察・検査を必要とする分野や、舞台やアミューズメント施設などでの特殊効果 用照明などに広く使われています。 これに加え近年のエレクトロニクスやコンピューター技術の飛躍的な進歩と、生産ラインの高速化・微細化に伴い、「動いているものが止まって見える」ストロボスコープ・ストロボ照明は、多岐にわたる分野で私たちの生活を支えています。 量産品検査や流体計測などの画像処理用照明として、欠かせないものになっているほか、ゴルフクラブやテニスボールなど運動用具の性能解析や運動競技者の動作解析、音や光と組み合わされた特殊噴水装置などのエンターテインメント向けなど、その活躍の場はあらゆる分野に拡がり続けています。
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2009,07,16, Thursday
ストロボ光源(フラッシュ)は、キセノンガスの良好な放電特性を利用して短時間発光を行う光源です。キセノンフラッシュが科学技術に寄与した功績は大きいものがあります。適度な光量 と短時間露光、高い繰り返し発光を持つキセノンフラッシュで撮影された写 真から数多くの神秘で新鮮な情報が提供されました。
従来の閃光光源といえば1900年初頭、マグネシウムを金属皿に適量に盛り電気点火させていたマグネシウムフラッシュが一般 的でした。
しかし、マグネシウムは光量が多い反面100万分の1秒などという短時間露光には適していませんでした。
学術的な用途には短時間で発光する光源が必要で、この目的のために大気中の火花放電による発光装置が使われていました。
火花放電による高速度写真撮影に初めて成功したのは1851年、英国のWilliam Henry Fox Talbotでした。
彼はライデン瓶に蓄えた電荷を空中で放電させ1/2,000秒(500マイクロ秒)の発光を作り、London Times紙を回転板に取り付け回転させて、見事に静止画として写真に収めたといいます。
その時使用した感光材は「amphyitypes」と呼ばれたもので、ASA4相当(現在のフィルムの1/100)でガラス板に卵白と水に硝酸銀を混ぜて塗布したものだったそうです。
この感光材を使ってそれにf32の口径比を持つレンズ(現在のレンズの1/500の明るさ)をカメラに取り付け撮影されたといいます(An Early History of High Speed Photography 1827-1930 written by Lincoln Endelman in 1988, SPIE's 32nd Annual International Technical Symposium)。 Talbot、Mach、Cranz、Boysらが始めた高圧コンデンサに電荷を蓄え空中で火花放電を起こさせる瞬間光源は、シュリーレン撮影法を確立し、高速飛翔体の研究(当時は弾丸が主流)に大きな功績を残しました。
※安藤幸司様のサイト”Anfo world”内「光と光の記録」より抜粋・引用させていただきました。
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2009,07,16, Thursday
1930年代に米国MIT(マサチューセッツ工科大学)のHarold Edgerton博士の手により安全で使いやすいガス封じ込めフラッシュ装置が発明されると、これが、一気に主流の座を占めるようになりました。
キセノンフラッシュの歴史は、Edgerton(とドイツのフリュンゲル=Frungel)の歴史といっても過言ではありません。
初期の頃のElectric flashはキセノンではなく水銀を用いていました。
水銀蒸気は、温度と蒸気圧によって発光輝度と発光時間がバラつくため適正露光を得るのに随分と骨が折れたそうです。
エジャートンは水銀に変えて希ガスのアルゴンを使ったフラッシュ装置を開発し、最終的にキセノンを封入したキセノンフラッシュ装置に落ちついたそうです。
キセノンにしたのは、発光スペクトルが太陽光に近く、発光効率も良く、またガスの熱容量 が小さいため短時間発光(サブマイクロ秒)が可能になるためでした。
この装置は、その後Eastman Kodak社によってKodatronの商品名で米国東部のスタジオで使われ始めました。
1940年、プロカメラマンJoe Costaが携帯用のKodatron portableをひっさげてプロボクシングJoe Luisのファイティングシーンを撮影し、それを「Life」誌に掲載しました。
短時間露光を可能にしたスポーツの瞬間写真は今までにないスポーツ報道の一面 を切り開きました。
その後エジャートン博士は、科学者として以上に、有能なカメラマンとして活躍しました。
フットボールを蹴る瞬間にボールが激しく歪んで靴にのめり込んでいる瞬間写 真や、棒高飛びの多重露光写真など有名な瞬間写真を次々と発表しました。
彼が取り組んだストロボには
1. 数百KHzの高周波数発光ストロボ
2. 数10nsパルスの極短時間発光ストロボ
3. ストロボを使った海底写真撮影
4. ストロボを使った夜間の航空写真撮影(地上高1.6kmより1Km四方を撮影)
5. 顕微鏡用マイクロギャップストロボ
6. 航空施設用ビーコンストロボ などがあります。
Edgerton博士はまた、自ら会社(EG&G社)を興し特殊なストロボバルブや電気素子を開発してその普及に務め、大きな功績を上げています。
EG&G社は、創設者の3人の頭文字、Harold Edgerton、 Herbert Grier、 Kenneth Germeshausenからつけられました。
フラッシュバルブならず光電素子、CCD素子などユニークな製品を開発する企業として知られていましたが、現在はPerkinElmer社の一部門になっています。
※安藤幸司様のサイト”Anfo world”内「光と光の記録」より抜粋・引用させていただきました。
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